知っておきたい印刷のトラブル「版ズレ」

今回は印刷で起こるトラブルについて紹介します。

文字やデザインの輪郭がぼやけて見えることがありませんか?
自分の目がおかしいのか?と思われたかもしれませんが、もしかしたら「版ズレ」という印刷の代表的なトラブルの一つの可能性があります。

「版ズレ」とは?

オフセット印刷でカラー印刷を行う場合、CMYK各色の版を重ねて印刷をすることで指定した色の表現ができるのですが、それぞれの色の重なりで僅かなズレが生じると文字の輪郭がぼやけてしまったりすることがあります。

目がチカチカしますが、原因はC(シアン)とM(マゼンタ)の版がズレてしまっているからです。
遠目に見るとただぼやけているように見えますが、拡大して見てみるとそれぞれの版がズレてはみ出してしまっていることが分かります。

文字で版ズレが起きると可読性を損なうことにつながりますので、特に文字の版ズレには要注意です。

文字の版ズレにご注意

パッケージ印刷では箱の裏面の成分表記などで黒の印刷をすることが多くあります。
通常はK100の黒で印刷することがほとんどですが、中には「リッチブラック」という黒色で印刷することもあります。

リッチブラックはK100の他にCMYをそれぞれ30%ほど混ぜ合わせたインク量の多い濃い黒色です。実際に印刷するとK100の黒よりも、リッチブラックのほうが濃いしっかりとした黒色で表現されます。

様々な利点があるのであえてリッチブラックを使う場合もありますが、CMYK4色を使用した文字の印刷となるので版ズレを起こしやすいというデメリットがあります。
版ズレを起こすと、黒の印刷の周囲に3色が複雑に重なり合ったようにズレるので可読性はより一層損なわれてしまいます。

このことから小さな文字や細かい線に対しては、リッチブラックの使用は控えたほうが良いです。

 

今回は印刷トラブルの代表的な例として「版ズレ」がどういうものなのか紹介しました。

デザインの中にはあえて版ズレを再現したものなどもあります。
ただ、意図しない版ズレはできるだけ避けたいものです。
対策としては先ほどの細かい文字では多色印刷をできるだけ避けることと、あとは現場の職人さんの腕にかかってきます。

データの作成側としてはできる対策はそれほど多くはありませんが、このようなトラブルが起こることもあるということを知っていただければ幸いです。

 

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