ダンボールにオリジナルのデザインを印刷する際に、デザインによってはあれこれと製作側からこのようなことを言われるかもしれません。
「複数色はご対応できません…」
「色がズレるかもしれません…」
「細かなデザインは印刷できないです…」
せっかく時間をかけて考えたデザインが印刷できないとなると、デザインを再考する時間のロスなど精神的にもダメージが大きいですよね。
ただ製作側が伝えるこのような制約には理由があります。
一口に「印刷」と言っても、印刷する対象のモノによって手法は異なり、ダンボールへの印刷は一般的には「フレキソ印刷」という方法で行います。
フレキソ印刷の仕組みについては今回は割愛しますが、フレキソ印刷の特性とそれに伴う注意点について紹介していきます。
印刷時の注意点
①フレキソ印刷の特性上、印刷面に対して印刷ズレが発生することがある
一般の印刷で用いられる「オフセット印刷」よりもズレの誤差が大きいというべきかもしれません。
ズレを目立たなくさせる方法としては、印刷面に対して左右天地を各10mm程度の余白を設けてデータを作成していただくことがベストとな方法となります。
また、例のように組み立てた際に各面同士で繋がるようなデザインも極力控えていただいたほうがいいです。
②A式(みかん箱)のロータリー製作ではスコア部分への印刷ができない
A式のロータリー製作をする場合は、裁断前の板ダンボールにはすでに箱の高さに合わせてスコアが入っており、そのスコア部分には凹凸があるためインクが綺麗にのらないことが理由となります。
「スコア部分にも印刷が必要なデザインなんですけど…」という場合には木型の製作が必要となりコストはかかりますが、木型を用いたトムソン加工を依頼することを検討しましょう。
③2色印刷をすると版の組み合わせによるデザインのズレが生じる
フレキソ印刷で2色印刷をする場合、1色目の版と2色目の版を順番に印刷する工程が必要になります。
このように2色印刷をする際にダンボール原紙が1色目から2色目の印刷へ移動する段階で若干の揺れが発生し、お客様から頂いたデザインの位置が左右上下いずれかに振れてしまい、その結果印刷のズレが発生するという可能性があります。
ズレを100%無くすことは難しいですが、極力抑える方法として1色目のデザインと2色目のデザインの幅に余裕を持たせてデザインをすることをお勧めします。
④2色重ねて印刷をすると擦れやムラができる可能性がある
フレキソ印刷で2色印刷をする場合、③で説明した通り1色目の版と2色目の版を順番に印刷することになります。
フレキソ印刷は印刷速度が非常に速いため、1色目のベタ印刷のインクが完全に乾ききる前に2色目の印刷工程へと入ってしまうため重なったインクが浮き出る現状が起きます。
データ作成時の注意点
①可能であればベクターファイルを作成する
印刷に最も適したファイルはイラストレーターで作成したベクターファイルです。
イメージ(ビットマップ)で作成する場合は単色で作成し、画像解像度は原寸で300DPI(PPI)にする必要があります。
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②データは単色でできるだけシンプルに
フレキソ印刷はオフセット印刷のようにCMYKの4色のインクを用いたフルカラー印刷はできません。
近年は4色フルカラーの機械もありますが、樹脂版を利用したフレキソ印刷はシャチハタのようなゴム版を使ったハンコと考えるとイメージしやすいかと思います。
つまりシンプルなロゴやURLなどのテキストのような単純なデザインを印刷することに適しています。
また、グラデーションや色の濃淡を表現する場合は全て粗い網点で樹脂版が作成され、印刷されます。
③データ上の線または面の太さは0.4mm以上がおすすめ
0.4mm以下の線となると版を製作する際に表現できない場合があります。
データ上のオブジェクト同士の間隔も同じく0.4mm以上の間隔で設定すると綺麗に印刷ができます。
④2色デザインの場合はズレが起きることを想定して作成する
印刷時の注意点で説明した通り、オフセット印刷と比較するとフレキソ印刷はズレの範囲が大きくなるため、1mm程度の隙間などを印刷で再現することは難しいです。
事前に想定してできるだけズレを抑えるデザインにすることが仕上がりを綺麗にする秘訣となります。
ここまで説明してきたことがフレキソ印刷を行う上での注意点ですが、突き詰めればもっと細かく見ないといけない内容もありますが、上記の内容を一通り把握してもらえればデータ作成時、印刷時に困ることはないかと思います。
ユーパッケージでは印刷に精通したスタッフが対応しますので、フレキソ印刷に関する疑問点や実際に注文する際のデータ作成に関してお気軽にお問合せいただければと思います。
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