印刷で表現する黒にはいくつか種類があります。
その中でも一般的なものが「スミベタ」と「リッチブラック」です。
どちらも一見するとただの黒色で違いが分かりづらいのですが、同じ黒は黒でも使用するインクが違う理由からデザインによってスミベタとリッチブラックのどちらが最適かといった相性もあります。
今回はスミベタとリッチブラックを選ぶときのポイントや注意点などを紹介していきます。
スミベタとは?
スミベタはC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のインクでKのみを100%使用した黒色です。
K1色を使用した黒色なので版ズレの影響もなく、テキストの印刷など細かいデザインの印刷に向いています。
スミベタの注意点
他のインクを重ねていないスミベタはオーバープリント処理がされますので注意が必要です。
オーバープリントについてはこちらの記事を参考にしてみてください。
スミベタの下に重なって配置されているデザインは印刷を行うとぼんやりと透けて見えます。データ上では確認ができず、事前に知っておかないと防ぐことが難しい印刷トラブルです。
特にパターン柄などの背景が重なっている場合は見落としがちで注意が必要です。
ただ、スミベタにCなどのインクを少し入れることでオーバープリントは防ぐことができるので対策も可能です。
リッチブラックとは?
リッチブラックはCMYK4色のインクを掛け合わせて表現される黒色です。
配色の比率は様々ですが当社ではC30% M30% Y30% K100%を推奨しています。
リッチブラックは4色のインクの掛け合わせということもあり、はっきりとした濃い黒色で印刷され、面積の大きなベタ印刷も綺麗にしあがります。
データ上では同じ黒色に見えるスミベタとリッチブラックですが、印刷してみるとスミベタの方が少し水で薄めたような黒色であることが分かるかと思います。
リッチブラックの注意点
リッチブラックは4色の掛け合わせなので版ズレが起こりやすくなります。
版ズレは紙の収縮などによって各色の印刷位置が僅かにズレることによって起こります。
リッチブラックはCMYK4色を使用した黒色なので版ズレが起こりやすく、また4色がズレることになるので目立ちます。
そのためリッチブラックはテキストなどの線が細いデザインには不向きで、ベタ塗りなど面積の大きなデザインに適しています。
テキストには先ほど紹介したスミベタの使用をおすすめします。
今回はスミベタとリッチブラックの違いについて紹介しました。
同じ黒色でも特性を知っておくことで使い分けることができますし、印刷トラブルを防ぐことにもつながりますのでぜひ覚えていただければと思います。